

| これは勿論撮影時に音声班が録音してあるのだが、ロケ場所によっては可成りのノイズも一緒に録音されてしまう。 そう言った場合は後にスタジオで再録音される。 いわゆるアフレコと言う作業だ。 これは役者が同時録音されたセリフをヘッドフォンで聴きながら、自分の口の動きにあわせて録音される。 ここでの問題は、録音情況によって音質や音量がが一定していないと言う事だ。 天井の高い部屋、低い部屋、壁際の人、部屋の中央の人、野外の騒音の中、アフレコの声など、各々に違った情況がある、二人が向き合って話している状況でも、カットバックやアップになった時と遠景で二人とも画面に収まっている場合、撮影された時間も違えば、マイクの位置もちがうのだ。 それを、同一時間、同一場所として聞こえる様に調整するのだから、大変根気のいる作業になる訳だ。 |
| 全く後から付け加えられる音も勿論あるのだが、基本的には現実音が多い。 これも撮影時に音声班がセリフと一緒に録音してある、というかセリフだけをクリアーに録りたくても一緒に録音されてしまうのだ。 セリフもクリアーに、その時他の現実音も丁度良いバランスで録れていれば良いのだが、なかなかそうは行かない。 基本的にはセリフをメインに録音しているので、椅子のきしみ、動作の衣擦れ、食器類のぶつかる音、窓の外でさえずる小鳥の声、など実は後から付けたり足したりしているのだ。 部屋の中なら気が付かないが常に鳴っている冷蔵庫のブーンと言う音だって、聞こえるか聞こえないかと言う音量でも、後から付けなければならない。 それが自然だからだ。 屋外ならば遠くを走る電車や、車の走行音、お寺の鐘の音、小鳥は鳩なのか、雀なのか、或いは水鳥なのか、などによって場所の説明を可成り省く事が出来るし、より自然な環境音として映像と一体になるだろう。 そう言った音には沢山のトラックが必要とされ、また多くのトラックに振り分けられていれば、鳥だけ少なく、とかカラスは黙らせろ、といった調整も可能なのだ。 その大量の音がどの位の音量でどの程度入り、どんな残響を持った環境で・・・と調整して行くのだ。 |
| 日本でこの言葉が使われている事は、今までなかった様な気がするのですが、ファイナル・ミックスでは映画全体を約15分づつに分けて、各々ミックスを完成させて行きます。 分けられた映像は「ロール」と言って、今回は全体で104分程の作品なので6ロールに分かれています。 約15分と言うのも、あくまでも目安でシーンやカットの繋がりに依って同じ効果音が持続する場合や、音楽がまたがっているシーンなどを、途中でカットする訳には行かないので、長めのロールもあれば、短めのロールもあります。 そこで、全てのロールのミックスが終わった時点で、フィルムを映写し各々のミックスをチェックするのが「A
コピー」です。 フィルムを映写すると言っても、まだロール毎は繋がっておらず、連続して見る事は出来るのだが、ロールとロールの間には多少の中断が入ります。 フィルムを映写して、とわざわざ断っているのは、ミックス時には必ずしもフィルムを映写しているのではなく、VTR であったり、ハードディスクに取り込まれた映像をスクリーンに映写してミックスして行く場合もあるからです。 いずれにしても、現在では全ての機器やメディアを同じタイム・コード上で同期させるデジタル方式を取っていますが、以前はカット変わりやシーン変わりの1秒前に、フィルムの右上などにパンチで穴を開け、その合図によってアナログ・テープを廻したり止めたり、と云った作業でした。 |